Turning Star
「ふっ、…………ぅ…………。
 …………そっか、私は、忘れていたのね。
 この感覚、……私が研ぎ澄まされていく。」




それと同時に、私の頭の中で、言の葉が紡がれていく。
何かに目覚めたような感覚が、全身を震わせ、
不思議と心を落ち着かせる。
その心は、何処にあるのか分からないけれど、
それは、とても素敵な気持ちなの。
私の中が、満たされていく。
今の私は、とても幸せ。
だって、こんなにも心地良いのだから。



























「……貴方は、いつも私を優しく照らし出す。
 その響きは、甘く、切なく、そして哀しく。
 私の涙を誘い、永遠を望む私の心を、捕えて離さない。
 薄暗い森の中、湖面に映る満月は、
 静まり返る中で、妖艶に輝くの。
 ……月神ノアールよ、我の元に来たれ。」




一瞬、ふっと意識が失われかけたが、何とか堪えて、
私は、召喚されたそれを目の当たりにした。










「これは、…………。」



「……貴方が、ノアールね?」


「はい、お初にお目にかかります。
 我が主麗様、私は、月神ノアールと申します。
 そして、主のご友人の藍様ですね?
 お二人とも、どうぞよろしくお願いいたします。」







現れたのは、天使のように優しげな、綺麗な男の人だった。
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