Turning Star
「私の考え得る中で最も良い触媒は、今、麗様が、
 無意識下で使用した物ですよ。
 昨日、隼人という方から頂いたでしょう?
 ティアがかけた暗示を解くための、星のカードですよ。」




「あぁ、……なるほどね。」



「私が考えるに、彼の持つカードは、
 召喚士である貴方様と、とても相性が良いように思います。
 昨日召喚されたティアにしても、たった今召喚された私、
 ノアールにしても、ただ存在しているだけのように思われるかと
 存じますが、戦いとなれば、自身の能力を最大限に発揮できる気がしますよ。」





そう言って、彼、ノアールは、柔和に微笑んだ。
そして、彼は、更に続けた。
























「……とはいえ、私とティアは、貴方様の現在召喚可能な者の中では、
 割と攻撃向きではありません。
 もし、戦いとなれば、……そうですね、炎の精霊ティナか、
 あるいは、氷姫アイザを召喚すると良いでしょう。
 もう、あまり時間がないので、先に彼女らの名前を教える事になりましたが、
 貴方様の思考の中から拝借したものですので、それほど悪くはないでしょう?」




そういえば、前に私が以前読んだ小説の中に、
確か、そんな名前の人がいた。
その時、私は、その名前を酷く気に入ったものだわ。
…………懐かしいわね。








「……そうね。
 それじゃあ、そろそろお別れね。
 私達、これから、いつも通り授業があるのよ。
 だから、…………また会いましょう。」


「仰せのままに。
 麗様、藍様、また会う日まで、どうかご無事で……。」







そう言って、ノアールは、眩い光のカーテンに包まれ、消えて行った。
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