Turning Star
「そうだよ。
 前に、僕に言ってくれたの、覚えてない?
 拙くても良いから、ちゃんと心を込めて言えば、
 皆分かってくれるものよ? って。
 僕、麗がそう言ってくれたおかげで、
 勇気を持って、他の皆に話しかける事が出来た。」




「私は、あんまり話せなかったけど、
 でも、ずっと、麗の事見ていたよ。
 いつも物静かで、でも、言う時はちゃんと言うし、
 自分の考えもしっかり持っているわ。
 そんなあんたが、私は大好きだったよ?
 それに、これからも絶対忘れない。」




「でも、一区切りだし、そろそろあの本返さないと、だな。
 俺、ずっと借りっぱなしだっただろ?
 何とか読み終わったけど、結構難しかったよ。
 あ、でも、内容は、かなり面白かった。
 また後で持っていくよ。」




「麗、……私達のためなんかに、そこまでしてくれなくても良いよ。
 皆、こんな風に、麗からたくさんの事を教えてもらった。
 私達の思い出は、ずっと変わらないから。
 だから、クラスが変わっても、辛くなったら、いつでも帰ってきてね?
 私達、ずっと待っているから。
 それと、……無理しないでね。」






















私は、どこまでも無力なのに。
私が知らないうちに、私は、皆にたくさんの事を与えていたの?
……こんなにも、皆は、私の事を思ってくれていた。
その事が、何よりも嬉しくて。
本日2度目の大号泣を迎えてしまった。
< 56 / 169 >

この作品をシェア

pagetop