Turning Star
思わずふらついた私の身体を軽く支えながら、恵は続けた。




「……これが、僕の第3の能力、時間操作。
 ただし、進める事は出来ないけどね。
 それじゃあ、始業の10分前くらいに戻った事だし、行こうか。」





そう言って、彼は、鼻歌交じりに歩き出した。
それに気付き、私は慌ててついて行く。

























「ねぇ、……私がやった事は、ちゃんと残っているお?」


これが、一番聞きたかった事だ。
満足にお別れも出来ずに、違うクラスに行くなんて、
私には耐えられないから。
あのCクラスだから、尚更ね。
















「ん、心配しなくても、ちゃんと残っているよ。
 僕の時間操作は、不都合のないように出来るからさ。
 望んでやった事は残すし、それ以外の事は、
 時間操作した事を記憶に残さないようにする。
 だから、あのクラス以外の人達は、たぶん、時間操作した事にすら
 気付いていないはずだよ。
 ほら、見て?
 皆、何事もなかったかのように、普通に動いているでしょう?」




「……そうね。」



「こんな貴重な能力だからね。
 本当ならSSクラスに行っても良いけど、
 僕は、あんなチヤホヤされるのが大の苦手だから。
 というか、そんなに愛想良く振る舞えない。
 僕は、広く浅く主義よりも、狭く深く主義だからね。」








そう言って、不意に寂しそうに微笑んだ。
それが、いかに彼にとって隼人が大切なのかを、如実に物語っている。
私には、そんな気がしてならなかった。
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