Turning Star
「……あぁ、このクラスは、賑やかとは縁がないからな。
 自身の能力を最大限に活かすと同時に、他のクラスとは違って、
 ある程度の学力も要求される。
 ここには、能力が優れているだけじゃなく、文武両道でないと
 入れない。
 ……ま、波宮なら大丈夫だとは思うけどな。」


「……どうして、そう思うの?」




色々と思いを巡らせながら、彼の話を上の空で聞いていたけれど、
最後の発言が引っかかったから、聞いてみた。
すると、予想もしなかった答えが返ってきた。




























「国語と倫理を筆頭に、基本的に、学力は問題ない。
 そして、剣道3段を持ち、前の学校では、文芸部に所属する傍ら、
 新体操部でも大きく活躍した。
 だから、スポーツ面でも、ほぼ問題はない。」



「……ちょっと待って。
 あんた、何でそんな事を知っているの?」



「…………あぁ、恵が時々情報を持ってきてくれるからだ。
 ちなみに、お前は、能力を除けば、理事長のお墨付きだった。
 そんなわけで、……親の七光と言えば、聞こえは良いが、な。」



「完全に、個人情報の漏洩、だと思うけどね。」





そこまで言うと、彼は、可笑しそうに笑った。
しかし、その表情は、どこか満足気だった。






「……私、何か余計な事でも言った?」



「……いや、違うよ。
 やけに突っかかってくるなー、と思ってさ。
 普通の女子なら、俺を前にしたら、そんな態度は取らないのに。
 勿論、このクラスの連中も、な。」





そう言って、彼は、教室をぐるりと見渡した。
どこか、切なさを帯びた瞳で。
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