Turning Star
「ふふ、驚いているの?
 でも、これは、当然の事だよ。
 もう、この学園の結界は、形だけの存在になっている。
 壊そうと思えば、いつでも壊せるよ。
 現に、学園内にいる人物に、こうして介入できるのが、
 その良い証拠。
 ……あぁ、そうだ、自己紹介が遅れたね。
 僕の名は、カトリーヌ。
 つい今まで、僕達の話をしていたようだけど、
 僕は、…………その闇薔薇の長、だよ。」




そう言って、カトリーヌはクスリと笑った。
まるで、自身の存在を示すかのように。






「なっ……、そんな…………。」








驚く事が多すぎて、もはや何に驚けば良いのかも分からなかった。
急に、父さんの意識が乗っ取られた事からして、
このカトリーヌという奴の能力は、おそらくは洗脳の類だろう。
それも、学園内に介入できるのだから、相当な実力者。
























「……とはいえ、出来れば、争い事はせずに平和的に解決したいから、
 こうして挨拶にきた。
 大人しく愚者を引き渡してくれるのなら、
 この学園の安全は保障するよ。
 あぁ、大丈夫、これでも、僕達は平和主義だからさ。
 誰かれ構わず、人の命を奪うような事はしないよ。
 信用できないなら、それは約束してあげる。
 ……さぁ、理事長の息子さん?
 この提案に乗るか乗らないか、……出来るだけ早く、返事をしてね。
 そうじゃないと、彼、……少々壊れちゃうかもしれないからさ。」




そんな事は、決まっている。
僕の答えは、乗らない、だ。
でも、本当にそう言って良いのか……。




「は……?
 壊れる、って……。」




最後の発言が、やけに引っかかった。
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