切ナクテ、恋シイ、ヒト。


「あのね、優・・・」

「あのさ・・・」



2人して同時に声を出す。







「あ、いいよ、先に」

優がアタシに言う。






「優から・・・でいい」

アタシも譲る。






すると彼はすっと手を伸ばしアタシの頬に当てて言った。







・・・温かい彼の手。






やっぱりアタシは

この手を離したくないって思った。





少しの沈黙の後、
彼が言った。





「・・・いいよ、
俺から解放してやるよ」



「え?」





そして彼は手をそっと下ろした。





< 348 / 360 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop