切ナクテ、恋シイ、ヒト。
「あのね、優・・・」
「あのさ・・・」
2人して同時に声を出す。
「あ、いいよ、先に」
優がアタシに言う。
「優から・・・でいい」
アタシも譲る。
すると彼はすっと手を伸ばしアタシの頬に当てて言った。
・・・温かい彼の手。
やっぱりアタシは
この手を離したくないって思った。
少しの沈黙の後、
彼が言った。
「・・・いいよ、
俺から解放してやるよ」
「え?」
そして彼は手をそっと下ろした。