君といっしょ。

3.理由



なんとなく家に帰る気になれなくて、公園のブランコに座る。私が前後にこぐと、キィ…キィ…と微かに音がする。私はうつむきながら、ぼーっとしていた。




『美愛!』




誰かに名前を呼ばれ、体が震える。でも、この声は聞き慣れた声。声の主を確認するために、顔をあげる。

『美愛、どうした?』


声の主は蓮だった。蓮だと分かった瞬間、安心しきった私の目から大粒の涙が溢れた。


「な…っンク…でも、ない…ヒクっ…」


『なんでもないのに、なんで泣くんだよ。俺、お前なんかしたっけ?あっ…!!猫女って呼んだことに腹立って、泣いてんの?』


「っち…違う…っぅく」


『じゃあなんでだよ。』


「な…っんでも、…ない…から!!大丈夫だ…からっ」


答えようとしない私を見て、蓮は何か気づいたらしく、それ以上何も聞いてこなくなった。蓮は、私が泣き止むのを待って、家まで送ってくれた。


『じゃあな。猫女!!……俺でいいなら、話聞くから。』


そう言うと、手を振って、帰っていった。





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