君といっしょ。


『大丈夫?』



そう言って、汚い私にハンカチを差し出す。



「…あ、ありがとう…」



目がクリクリしてて、背が低くて、サラサラの髪。まるでお人形さんみたいな女の子が、私の顔を覗き込んでいる。




私なんかとは正反対…

私はなんの取り柄もなくて、優しさなんてこれっぽっちもないうえに、素直じゃない。性格は暗くて、ツンツンしてる。そんなんだから入学してすぐに、クラスでいじめられるようになった。



今ちょうど、暴力から耐えきったところで、私の格好はぼろぼろ。唇が少し切れたみたいで流血していた。

そんな私に関わりたい人なんかいるはずもなく、みんなクスクス笑いながら、横を通りすぎる。



なのに、この子は違った。こんな汚い私に声をかけてくれた。


それがとても嬉しいのに、素直になれない自分。





.
< 39 / 58 >

この作品をシェア

pagetop