ユメミル☆girl
「ここしか話す場所が無いのよ。ごめんなさいね。えっと、私名刺にも書いてたと思うけど『sweet*doll』の編集長してる櫻井と言います。」
「私は宮島彩って言います。彩って呼んでね。お兄ちゃんとは、高校からの友達だから、何でも相談してね。」
「はい。よろしくお願いします。」
「ところで、お父様とお母様にはお話してくれたのかしら。」
「いえ、それがあの…」
「まだ母にも父にもこの事は話してないんです。両親に言う前に僕のところに相談に来てくれたので、僕が先にここに伺ってからにしようと言ったものですから。」
「そう。わかったわ。じゃあまた両親に話をしたら来てね。いい返事待ってるわ。」
「はい。」
「じゃあ、後は宮島に任せてあるから、撮影してるところ実際に見て行ってちょうだいね。頼んだわよ、宮島。」
「任せてください。じゃあ、行こっか。」
「はい。」

撮影現場に向かった。現場は会社のすぐ向かいにあるスタジオだった。スタジオ内はまるで別世界だった。たくさんの大人たち。そしてたくさんの機材。その中で聞こえるフラッシュ音。可愛い衣装を身にまとい、次々とポージングするモデルさんたち。それぞれがキラキラと輝いてみえた。
「今日はお世話になりました。」
「ほんまにありがとうな、彩」
「ううん。こちらこそ、来てくれてありがとう。また会えるのを楽しみにしてるわ。」
私とお兄ちゃんはその場を後にした。
家に帰り、お兄ちゃんと私は相談して【食後に話す】ことに決まった。今日はお父さんは出張でいないからお母さんだけに話す。なんとなく気が楽だった。―
―夕食後「あんな、お母さん。聞いてほしいことがあんねんけど、聞いてくれる?」
「何よ、かしこまっちゃって。なあに?」
「あんな、言うたらびっくりするかもしれへんけど、私おとつい、お兄ちゃんの大学の前でスカウトされてん。有名なギャル誌の編集長さんから。」
「えぇ!!それほんまに!?騙されてるとかそういうことはないの?」
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