年上カノジョに蜜な罠
隣にひっつかれたまま、中庭に着く。
ヨウの隣に腰を下ろすと
「…私、ここがいいですッ!!」
僕とヨウの間に、スッと入り込んだ。
…そこは昔から瑠璃の指定席なのに。
「…え、私はここでいいよ?」
はじっこに座ろうとする瑠璃を
「真ん中の方がいいって」
「こっち来なよ」
真ん中に座ることを促す僕ら。
…だって危ないじゃん?
はじっこって。
何かと理由を付けながら話すと
「…ふふっ、じゃあお邪魔します」
そう言って笑いながら真ん中にちょこんと腰を下ろすんだ。
「凜久センパイ、私頑張って卵焼き作ったんですけど、どうですか?」
ピンク色のフォークに突き刺された卵焼きを口の前まで持ってこられる。
「ごめんね。…いらない」
その言葉にシュンと俯いてしまった。
隣に座る瑠奈ちゃんの体温は、瑠璃が座った時に感じる居心地のいいものではなかった。