年上カノジョに蜜な罠
「どうした……の?」
瑠璃の前に向かい合って座ると、りんごみたいにおいしそうな匂いのする柔らかくてフワフワした髪を撫でてあげた。
ギュッと握られていた、手が少しずつ開かれてゆっくりと下に降りてくる。
その手が向かった先は……
床に置かれている瑠璃の髪を撫でていない方の僕の左手。
そろそろと力なく近付いてきた小さな手は、遠慮がちに僕の小指に触れると人差し指と親指でキュッと握った。
こんな小さな仕草がたまらなく可愛い。
あの電車に乗った時のような"無意識"の内にキスして"いた"時とは違う、
瑠璃に触れたい……
キス"したい"。そんな衝動に襲われた。