年上カノジョに蜜な罠
「…――瑠璃」
私の名前を呼ぶ凜久の声。独特の低すぎない心地いい声のトーンが私の鼓膜を甘く反響させる。
そのせいで、頭の芯がぼおっとして……甘い余韻に浸り始めてしまう。
「瑠璃が思ってること言ってみて?」
私が、思ってること…―?
「い、いっぱいあるよ……?」
小指は握ったまま、凜久の顔をそっと見上げる。
「うん。全部、話して?」
私を見つめ返す凜久の眼差しはすごく温かくて。
瑠奈に言われた言葉で冷え切ってしまった心まで熱を取り戻す。
自分の気持ちまで、言いそうになってしまう。