年上カノジョに蜜な罠
握っていた瑠璃の手をそっと離すと、僕の小指の温もりも同時に消えた。
「かさ、ありがとうだってさ、ヨウから」
きれいに折り畳まれたかさを出すとテーブルの上に置く。
まだ顔が真っ赤っかの瑠璃の顔に触れる。そっと前髪をかき分け、おでこにキスを落とした。
「赤いかさのプレゼント、もう少し待ってて。…じゃあね」
ちらっと視界の隅に見えたのは僕の好きなスナック菓子。
本当に買っておいてくれたんだ。
「好きだよ、瑠璃」
…――ドアをパタンと閉めた後、瑠璃に聞こえないようにその言葉を紡ぐ。
赤いかさをプレゼントした時に一緒に食べよう?
瑠璃の部屋で。
心の中で瑠璃に問いかけると、キスしたのはやっぱりいけなかったかな…とちょっぴり後悔しながら家へと帰った。