年上カノジョに蜜な罠
まぁ、こんな風に僕のこと叱ってくれるのは瑠璃の事を大事に思ってくれてる証拠だよね。
…もちろん僕もだけど。
「ねぇ、今日のお昼にまた来るかもしれない。…あの子」
分かったよ…俺だってもう嫌なんだよ。
と、面倒くさそうに話すヨウ。
チャイムが鳴った後に、すぐ教室から出て行く事を決めた。
僕らのクラスは3階、瑠奈ちゃんのクラスは2階。
あのクラスの前は極力通らない事にしよう。
「なるべく、そのクラスとは反対側の階段を使うんだな」
…でも、瑠奈ちゃんがどういう風に出てくるか分からないから様子を伺う事にしよう。
そんな事ばっか考えてたから先生の話しが全然耳に入って来なかった。
人間って考え事をしてる時に、本当は聞こえてるはずなのに耳に入って来ないって………こういう事なんだ。
僕と瑠璃の名前が刻まれた消しゴムを人差し指で転がしながら、ぼぉっと黒板を眺めた。