年上カノジョに蜜な罠
「それでも付いてきます」
――…やっぱり。
断っても付いて来る。これがオチだよね。
「じゃあ帰りましょう」
彼女の声は、僕の名前を始めて呼んだときみたいにか細くて、ソプラノ音のような音ではなくなっていた。
男に媚びるような、周りにいる黄色い声で騒ぐ女子たちみたいな、あんな声。
きっとそんな声でクラスの男子も誘ったのだろう。
「……っ!」
スルッと瑠奈ちゃんが腕を絡ませてくる。
「それは止めてよ」
一瞬目を大きく見開いた後にパッと絡ませていた腕を離した。
それ程冷たい視線を彼女に向けてしまった。
腕を振り払った訳でもなかったから。