年上カノジョに蜜な罠
「始めてあの屋上で見た時とは、大分変わっちゃったね」
「そんな事ない…ですよ」
この道こんなに長かったっけ?
ヨウや瑠璃と歩く時はあっという間に感じる道が今日はやけに長く感じる。
…時間は同じように進んでるハズなのに。
「あのさ、僕のクラスの男子を利用するのは止めてくれる?」
そう言うと、返事は返さないで
「…私、こっちですから」
と、スタスタ歩いて行ってしまった。
寂しげな背中がだんだんと小さくなっていく。
その姿を見送りながら彼女にも幸せな恋愛が出来るようにと願う。
「ごめんね、瑠奈ちゃん」
彼女の背中が見えなくなる瞬間に、呟くように話しかけた。
「ちょっと雑貨屋さんにでも寄っていこっと」
赤いかさ、見つかるといいな。
瑠璃の喜ぶ顔がパッと浮かんできて、さっきまで重苦しかった足取りがフワリと軽くなった。