年上カノジョに蜜な罠
瑠璃は高校に行っている訳だから、何かするんだったら僕と瑠奈ちゃんがいるこの学校、か…――?
目的は僕であって欲しい。
瑠璃は巻き込みたくなかった。
でもどう出てくるかは分からない以上、ただ構えているしかなかった。
「…おい、大丈夫か?」
どうやら顔が青白かったみたい。
それも全て彼女のせい。
今日は朝、忠告をされた時に会っただけで特に何もなかった。
こうして何も起こることなく過ぎていく日々が怖い。
嵐の前の静けさ、みたいな……―――。
何かの予兆を表しているみたいで、とにかく気味が悪かった。
「瑠璃の小指がなんだ?」
独り言を言ってしまっていたみたいで、"瑠璃"と"小指"という単語を出していてしまったらしい。
「また瑠璃の小指なんか握ったら元気出るかな?――…てか、ぶっちゃけキスしたい」
無意識のうちに呟いてしまって
「だから手出すの早ぇんだよ」
パコンとヨウに殴られ、なんだか少しだけ心が和らいだような気がした。