年上カノジョに蜜な罠
「…ふっ、――く…っ」
凜久、凜久……―――
苦しいよ、息……出来ないよ。
精一杯の力を振り絞って足を思い切り踏み出す。
そして、そこから走り去った。
逃げたかった――
もう見たくなかった。
持っていたバックも階段に落としたまま。
もうそんなの気にする余裕もなく、凜久の家から飛び出した。
――『好きな子を不安にさせたくないんだ』
あの言葉は嘘だったの?
――『まさか、僕の身長がこのまま止まると思ってるの?』
あのキスは、…なんだったの?
びっくりしちゃったけど、私すごく嬉しかったんだよ……――――
好きな人にキスされて、嬉しかったの―――
全部、全部…嘘、だったの……―――?
嫌だよ、凜久。
そんなの、嫌だよ…――