年上カノジョに蜜な罠
焦りを見せる僕を尻目に、瑠奈ちゃんがベッドに寝転ぶ。
――まるで、
僕の事を誘うように。
「ちょっ…、下りてよ」
そう言って彼女の腕を掴もうとした。
掴まれそうになったその腕はスルリと僕の手を交わし、逆に今度は僕の腕を捉える。
…――彼女の手はあの時のように冷たい。
触られた腕から血の気が引いていくようだった。
……―――そして、僕の腕を力任せに引っ張ると。
体勢を崩した僕は瑠奈ちゃんの上に跨った形となる。
「だから…」
コ ワ シ テ ア ゲ ル ―――
開かれた唇から、真っ黒に染められた言葉が紡がれてゆく。
――…まるでスローモーションのように、ゆっくりと。
悪魔の囁きが、聞こえた。