年上カノジョに蜜な罠
「すーはー…、すーはー…」
深呼吸、深呼吸…と。
あのまま忘れてきた宿題を取りに凜久の家まで来たんだけど…。
なかなかインターホンが押せない。
大丈夫、大丈夫…。
って何が…!?
キスしちゃった訳だしっ!
全然大丈夫なんかじゃない…。
インターホンを押そうと、ボタンの上に人差し指を置く。
念の為、もう1度深呼吸をしてボタンを押そうとした時。
「ぎゃああああっ」
まるで凜久のことをお化け扱いしたような叫び声を上げて、後ろにドスンと派手にしりもちをついて転んでしまった。
だって…、急にドアが開くんだもん…。
「僕はお化けかっ」
そう呆れながらも、手を差し伸べてくれる凜久。
ダ…ダメダメ…。
凜久の顔がちゃんと見れない。
「瑠璃は転ぶと顔赤くなるの?」
あっけらかんとした声。
もしかして凜久…
―キスしたこと覚えてないの?