年上カノジョに蜜な罠
「「あのねっ」」
僕と瑠璃の声が重なる。
「瑠璃からいいよ?」
「ううん、凜久からでいいの」
「じゃあ、一緒に」
「せーのっ」
の掛け声で、喋る。
「「明日も一緒にいよ」」
またきれいに重なった。
「あっ、見て!あのカップル」
「…え、どこどこ?」
ハニーハウスの前の道路を挟んだ向こう側。
横断歩道で、信号待ちをしているカップル。
「ほら、あそこ」
女が指差した先は白い木造りの小さい窓。
そこに映るふたりは…凜久と瑠璃の姿。
「可愛いカップルだね」
「なんか初々しいカンジ」
自分たちの事が話されていることなんて知るはずもなく。
顔を合わせて笑いあっているふたりは、どこか初々しいカップルを思わせた。
「お昼はあのお店に決定ッ」
信号が青に変わり、そのカップルがハニーハウスにつく頃には凜久たちの姿はなかった。