年上カノジョに蜜な罠
「凜久はなんで早く高校生になりたいって思うの?」
「瑠璃と一緒にいたいからだよ」
あえて視線は床に向けたまま言った。
赤くなった顔を見られるのが嫌だった。
「り…凜久、顔赤いよ…?」
「…分かってるよ」
ふたりの視線はずっと床に向けられたまま。
結局床に映る景色の中に赤くなったふたつの顔が一緒にうっすらと映ってしまっていて、
瑠璃の顔を見ても見なくてもあまり意味はなかった。
「凜久…、私…」
じばらくして。
隣に座る瑠璃がコクコクと頭を揺らしながら、眠そうな声で僕を呼ぶ。
「眠いの?」
すぐ隣から聞こえる瑠璃の声はとても小さくて、目も潤んでいる。
「寝ていいよ」
その言葉を聞いて安心したのか瑠璃の頭がクテンと下に倒れる。