年上カノジョに蜜な罠
開いた先にはのどかな風景が広がっていて。いかにも探検のしがいがありそうな場所だった。
「降りるよっ」
「…ふぁっ?」
まだ寝起きの、ぽけっとしている瑠璃の腕を引っ張ってその駅で下車。
電車が走り去った後、向こう側に見えたのは青く光を放っている海。
「わぁぁ!綺麗っ」
こうして、行き先も決めないまま夏休み最後の冒険が幕を開けた。
「手、つなぐ?」
左手を差し出しながら、首を傾げる。
「…うんっ」
"恋人つなぎ"ではないけど瑠璃と手をつなげた事が嬉しくて…ギュッと握る。
瑠璃もそれに気付いたのかニギニギと弱々しく僕の手を握り返してくれた。