年上カノジョに蜜な罠
消しゴムを包んでいる紙を押し上げる。真っ白でサラサラする粉まで付いていてなんとなく書くことを躊躇(ためら)わせた。
マジックじゃなくてもいいのかな?
シャープペンで薄い文字を何度もなぞりながら、濃く名前を刻んでいく。
"瑠璃"と書いた後、ちょっと調子に乗って隣に僕の名前も書いてみた。
さすがに漢字は難しいからカタカナだけどね。
――――――――
ルリ リク
――――――――
書き終わった後、妙に恥ずかしい気持ちになり急いで紙で隠す。
見てはいけないものを見てしまったような、書いてはいけないもを書いてしまったような、そんな不思議な気分。
でもどこか、心は満たされていて。