年上カノジョに蜜な罠
『友達以上、恋人未満』
そんな言葉があるけど、それは"今"の私たちに当てはまるのかな。
凜久は私にとって、"特別"な存在だけど、私は凜久にとってどんな存在なんだろう。
確かに今の関係は"友達以上"みたいで心地いいだけど、私はもっと凜久に近付きたい。
もっともっと凜久のことが知りたい。
…――誰よりも、傍で。
そう思うことは欲張りなのかな―――…
夜、ベッドに寝っ転がりながら窓から見える少し欠けた月を見て、ずっとずっと凜久のことを考えていた。
「やっぱ、もう一歩進展させたいわよね」
そう私の隣で話す女の子はあおい。
漢字じゃなくてひらがななんだ。
空を見上げると、うっすら灰色の雲が溢れていて少し肌寒く感じた。
「…そう、だね…」
"凜久"
私の好きな人の名前を入れてある消しゴムを人差し指で倒したり戻したりを繰り返す。
もうすぐ夏も終わりを迎える。
凜久と私の"心地いい"関係は逸れることなくただ真っ直ぐに進んでいくばかり。