年上カノジョに蜜な罠


「瑠璃に似てたからか?」


その問いに苦笑しながらコクンと頷く。



「でもその子は瑠璃じゃねぇ、分かってんだろ?」


…分かってる。瑠璃が高校生になって、瑠璃のいない学校生活にどこか寂しさを感じて…――


あの子に重ねちゃってたのかもしれない。




…いとこだから、似てるのはどうしようもないんだけどね。



「面倒くさくなる前に、きちんと返事しとけよ」



その言葉を最後にヨウは重そうに腰を上げて行ってしまった。


こんなに僕のことを考えてくれるなんて…ヨウも何か過去にあったのか?


その背中を見つめながら思った。



ひとつひとつの行動はスゴく面倒くさそうで、とても中学生に見えないヨウ。



でも、すごく頼りになるヤツだった。



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