hands
五組に戻ると、丁度授業開始のチャイムが鳴った。

みんな席につきはじめ、
私も自分の席に座った。


「なぁ!」


「………」


「おいってば!」


「えっ?」

私に話かけてたの…?

全然、気付かなかった。

さっきのことが、頭から離れなくて…

小学校の頃の記憶が、走馬灯のように蘇ってくる。



「お前…何かあった?」


「なんで……?」


駆はなぜか悲しそうな顔で私を見てきた。

私はその顔が直視できなくて、

授業に集中しているフリをした。



「お前、考えてること顔に出てるからすぐ分かるぞ?」


「…駆には、関係ないよ…」

震える声で、私は駆に言った。

本当は誰かに聞いてもらいたい。

苦しくて…涙が出そう。

けど意地っ張りな私は、甘えるということをしたくなかった。
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