季刊『お屋敷ハンター』
2.桜田部長という男
「マツイという女性から手紙が届いていてね、汐崎くん」
「はぁ」
デスクに座った部長から、オレは突っ立たされたままそれを受け取る。
前回の話し合い(嘆願ではない)から一週間が過ぎており、申請(お願いではない)授与の通達を受け取りに来たつもりのオレである。
マツイ、て誰だ?
センターのお偉方にそんな名前があっただろうか。もちろん覚えているわけでもないので、思い当たりもしないのだけど。