季刊『お屋敷ハンター』
「へぇへ」

「あんたね、いつまでもそんな返事しかしてないとこの先うっかり○兵衛とかって呼ぶよ、私は」

「それ伏せ字にする意味ってナニ」

「名称明記を避けてんのよ。訴えられたら面倒でしょ」

「誰も聞いちゃいないこんなトコロでそんなん気にする意味ってナニ」


答えは言葉では返らずに、凍るような一瞥だった。

解凍ののち、オレはトホホと言ってみる。

聞いてくれちゃいないわけなのよ。トホホ。


今やどちら様からも、オレたち、遠く離れ過ぎ。

さくさくと砂利を踏み歩いていく後ろ姿に、ぶつけるよーに思いっきりの息を吐く。けれど対象は次元がズレていて、ダメージは期待できそうにない。

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