季刊『お屋敷ハンター』
 目を近くに戻せば、見渡す限り見てはいけない草が伸び連なっている。

様相としてはスペインのひまわり畑、あんな感じで広がる果てしらずのムギ科ワールド。

オレが花粉症だったら、……死んだりするのだろうか、花粉症て。

これをきっかけに症状が出てしまったら、治療費は労災にしてもらおう。


 草がどれだけの時間をかけて伸びるものなのかは知らないが、相当長い間放って置かれたままであることはよくわかる。

手がかかっているということはもちろん金をかけているということで、それをこんな状態にしてしまうということは――を探りに来ている人に同行している身の上だった。
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