季刊『お屋敷ハンター』
6.汐崎星吾という運命
車が走り出したら、ローズは寝入ってしまった。気持ち良さそうな寝息が、次第に車内に積み重なっていくようである。
積めば積むほど、オレのほうは呼吸が不自由になるような気がしてきて、押し潰されそうだった。
悪夢だ。
と、次第にそんな単語も思いつく。
センターでいつも接している悪い夢は、どれももっと人の心の闇の部分に関わっている、深くどろどろしたものだった。
人生で抱く夢や希望は、間違ってしまうと怨念と化す。
生きていても死んだ後でも、力を持った思いの処理――、そんな仕事をしていたはずなのに、なぜ今ここで、後部座席に精霊を積む?
情けなくも不甲斐ない。ばかばかしさが満載だ。
「ミヨさん、あの家、ほんとにいらないの?」