季刊『お屋敷ハンター』
「つか、やめろ、得体の知れない向こう見ずなマネはっ。ミヨさん、これは昔話の教訓! 人に非ずの大切なものを奪った人間はひどい目に合うって決まってんの、社会通念でしょこれは」

「へぇ」

 へぇじゃないだろう~っ。

蓋をした手の中でサイコロのように転がっている石は、だんだんと熱を持ち、重くなっていくように思えた。

この手を開くのはオソロシイ。
肩越しに後ろの席を覗き見て、変わらず眠り続けているローズに安堵する。

抱えている杖のチューリップは空っぽ。
今はめ込んでしまえば、さっきなかったのは見間違いだったとか思ってくれはしないだろうか。

案外と、間抜けだから成功するかもしれない。


「返そ」

「ダメでしょッ」
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