水晶の傷跡

1

 エルザ=マリア。

 洒落たラブホテルの一階スペース、入り口に木枠に金文字のElsa-Mariaという看板を下げた小さなバー。

 店員はわずか二人。既に中年と呼んでもいい年齢に入ってきたマスターと私だけ。

「あーちゃん、ピーナッツ追加ね」

 カウンター席に座る三人のうち、真ん中の一人が私に言う。

 バーでピーナッツ追加とか、この人たちくらいだろうなぁと半ば関心する。
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