水晶の傷跡
 あれはどちらだろう。本当に気づいていないのか、私の気持ちに気づいていながら気づいていないふりをしているのか。

 大人のやり取りは、わからないまま。

 伝票にピーナッツ追加分をメモしていると、再び真ん中の彼女から注文が。

「たっちゃん、明日あーちゃん借りていい?」

 って、えぇ? これは注文というのかどうか。

 たっちゃんとは、つまりマスターである達樹さんのことで、レンタル対象のあーちゃんとは私、アデーレであるわけで。
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