17才
17の夏に転校したカオル。
むこうの大学に行き、こっちで就職するために戻ってきていた。
大きな会社…とは言えないものの、それなりに楽しく仕事をしているカオルを見て
それはそれで良いのかななんて思う。
良い意味でも悪い意味でもね。
「…あれ?コイツ……」
あたしが言う前に気づいたのか、カオルがテレビを指差して呟く。
「…うん。あの時の、あの子…だよね」
あの時
カオルが行ってしまう前日
一緒に野球をしたあの子だった。
オレはプロになりたいって言っていたあの子
コウタ君って名前だったんだ。
彼は、あの時の夢を今も追いかけていた。