17才
――カキーン…
「ほらほらっ、早く走れよーっ!」
『…姉ちゃんすげぇ!!』
外野で守っている子達は、もうお手上げ状態でこっちを見ている。
『ってーか姉ちゃん、大人気ねぇぞ』
「あぁ?何か言った?」
バットで指差しながら叫ぶと、その子は慌ててボールを拾いに行った。
「野球にね、大人も子どもも関係ないんだっつーの!!楽しきゃいいのっ」
これは、お父さんからの受け売り。
男の子がほしかったお父さんの期待を裏切り、女の子として産まれてきたあたし。
それでもキャッチボール位は…って3歳のあたしにグローブとボールを持たせていたらしい。
そんなお父さんのおかげで、こんなに男の子勝りな野球好き少女になっちゃったんだけど。