17才
最初は幻聴だと思った。
だけど“それ”は、確実にあたしの耳元から聞こえて来て。
背中に感じる温もりも
首に絡む腕も
全てカオルのもので。
「カオ……」
「幸せになるって…」
耳に響く声で、ようやく頭が働いて
後ろから抱きしめられていることにやっと気付いた。
「幸せになるって、少し考えてみたんだけど。やっぱ俺バカだからわかんねぇんだよ。
どうやって幸せになったらいいのか」
「……」
鼓動が高まって
カオルに聞こえてしまいそう。
カオルは無言のあたしに構わず話を進める。
「やっぱ俺の幸せって
チヒロが隣で幸せそうに笑ってる時なんだけど」