切な連鎖ーセツナイレンサー


「ハル、そこシール曲がってる。」


「はぁ?別によくね?」


「よかないだろ〜、世界中の人
が許しても俺は許さねーし!」

「意味わかんねー、いーや、放置放置♪」


「うわー聞き流したよこの人。」

「男のくせに細かいなぁ、
これから中澤涼子って呼ぶよ。」


「じゃ俺ハルじゃなくて
ハルオって呼んでやるよ。」


「ふ〜ん?ま、どーぞご勝手に。」


(言い合いしてるだけなのに、
なんか落ち着くな〜中澤。
この雰囲気なんだろ、
すごい楽しい。)


「ハルの近くにいると楽しいな。
言い合ってるだけなのに、
なんか楽しいや〜俺。
よくわかんねーけんさ!」


突然真顔で中澤が言った。


(すごい!なんか思ってる事
一緒なんですけれども。
これこそ本当の以心伝心?!)

「な、何言ってんだよ!
も、もう終わるからお前先いってろよ。」

「何?ハル照れてんの?
可愛いぢゃ〜んお前。」


中澤はアタシをおちょくる。


「もーうっさいなっ!
さっさと上、上がれよ!」


「はいはい、じゃまた後で。」


にっこり笑って中澤は階段へ向かった。



正直あの時アタシは
普通に恥ずかしかった。


ていうか中澤が笑った時の
あの笑顔は正直やばいぞ。

くりっとした二重が、
笑ったせいで少し垂れ目になる感じ。

ワックスで決めた茶髪が
似合いすぎるほど似合ってる。
あの人は違う意味で危ない、笑い。
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