【連作】そらにかなでし〜平安朝禁断恋草紙③〜
そのようにして、一の君は、人ごみからお抜けになりますと、目立つ弓も冠もうち捨てておしまいになりましたので、すっかり童姿にお戻りになられて、このようにいたしましたら、誰の目にも、先ほどの随身の者とは思えぬお姿にございます。

一の君は、車のいくのを、これ以上ご覧になるのもお辛くて、すす、と、行列からお離れになって、人の少ない小路を、ひとり、お行きになるのでした。
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