【連作】そらにかなでし〜平安朝禁断恋草紙③〜
そのようにおっしゃる一の君を、少女はさも可笑しそうにじっと見つめて、

「あら、こんな寂れた屋敷でも、私の住まいですもの。もっとも、父もあまりこちらには寄りつきませんけれど」

こう言って、笑うのでした。

「父は、母と不仲でしたから、それで」

このように、あっさりと言う少女に、一の君も、ますます興味をおひかれになって、

「あなたのお父上は……」

と、お尋ねになるのでした。
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