【連作】そらにかなでし〜平安朝禁断恋草紙③〜
「左大臣の一の姫といえば、都にならびたつ姫のないほど、お美しいとか」
「楽の才も、一角でない優れようというお噂なれば」
「二の宮様はお幸せで」
そのように、人々の声高に囁かれる中を、一の君は、
(いかにも)
とお思いになるのをお隠しになって、うつむきがちにお歩きになっておりますと、市に並びます、珍しい品、美しげな小間物などの数々が、なんとはなしに目に入って参ります。
「楽の才も、一角でない優れようというお噂なれば」
「二の宮様はお幸せで」
そのように、人々の声高に囁かれる中を、一の君は、
(いかにも)
とお思いになるのをお隠しになって、うつむきがちにお歩きになっておりますと、市に並びます、珍しい品、美しげな小間物などの数々が、なんとはなしに目に入って参ります。