【連作】そらにかなでし〜平安朝禁断恋草紙③〜
そこで、かの少女へと、これをお求めになるのに、一の君には、いかようにも躊躇いはございませんでしたが、なにぶんにも高価な簪ですので、贅沢な品に慣れぬ娘のこととて、突然にこのような品をお贈りいたしましても、気後れになられるかと案じられまして、
(今少し、気軽なものはないか……)
とて、お探しになりましたところ、同じように白銀色に輝きます、美しい手鞠をおみつけになって、
(これは)
と、手にとってごらんになりましたところ、やや小ぶりなそれは、いかにも、少女の小さな手に合いそうに思われましたので、一の君は、これもまた、簪とともにお求めになるのでした。
(今少し、気軽なものはないか……)
とて、お探しになりましたところ、同じように白銀色に輝きます、美しい手鞠をおみつけになって、
(これは)
と、手にとってごらんになりましたところ、やや小ぶりなそれは、いかにも、少女の小さな手に合いそうに思われましたので、一の君は、これもまた、簪とともにお求めになるのでした。