【連作】そらにかなでし〜平安朝禁断恋草紙③〜
一の君にも、その声が聞こえてまいりましたので、こちらも、大変お心苦しくお思いになって、
「姉上……私は、姉上のお幸せを願っておりますれば……」
とて、淡く蕾のついた一枝に括らせた薄様の文を、輿の隙間からそっとお差し入れになって、
「姉上をお慕い申し上げるのも、これを最後にいたしましょう……」
と、こうおっしゃるのでした。
「姉上……私は、姉上のお幸せを願っておりますれば……」
とて、淡く蕾のついた一枝に括らせた薄様の文を、輿の隙間からそっとお差し入れになって、
「姉上をお慕い申し上げるのも、これを最後にいたしましょう……」
と、こうおっしゃるのでした。