ブラックコーヒー
胸の奥が少し痛む。


テツくんはみちるちゃんが好きだ。
前から知っていた。
二人はよく似ているから、磁石が引き合うように
出逢ったんじゃないかって思えるくらいに仲がいい。


そしてみちるちゃんは、かわいい。
別に化粧っけがなくても、髪にカラー入れたりしなくても
オトコの夢が詰まってるってあんな感じなのかなと思う。
自分がかわいいって主張してこないから、逆に頭にくることさえある。

正直言って、みちるちゃんはいい人なんだ。
こんな風に思いながら、くやしい気持ちを抱えるわたしはなんなんだろう。


テツくんとみちるちゃんはテツ君の親がやっているカフェで知り合ったようだ。
学校では話すところを見たことなかったのに、いつの間にか仲良くなっていた。
わたしの方が、テツくんとは付き合いが長いはずなのに。





「おい、なにしてんの」



振り返ると、黒木くんがいた。



「あ、帰るとこ」


思考が遮断されて、現実にかえった。



< 12 / 17 >

この作品をシェア

pagetop