ブラックコーヒー
コーヒーをすすりながらふとテツくんを見ると、みちるちゃんに


「つ い て き て」


とジェスチャーを送っていた。



わたしはそのとき、気になって仕方がなかった。
二人で消えたらどうなるかなんて、想像がつくのに。




二人が教室から出た後、こっそり尾けた先は図書館だった。



テツくんが、周りに人がいないのを確認すると、ぎゅうっとみちるちゃんを抱きしめる。

テツくんの腕が緩むと、みちるちゃんが照れくさそうに下を向いて、テツくんはみちるちゃんの頬を両手で覆うようにしてキスをした。



あーあ。
なんでついて来たんだろう。
やっぱりわたしはバカだ。


「みちる、学校祭が終わったら旅行に行こう。夏休みに入ってから」

みちるちゃんはにっこり頷いている。

「テツ、どこ行くの?」

テツくんはニコニコして言った。



「秘密。」



あの笑顔。
どうしてわたしに向けたものじゃなんだろ。


テツくんがみちるちゃんにもう一度キスすると言った。


「みちる、あまい」


あぁ、ご馳走様。


見ても仕方のないものを見た。
自分に呆れて図書室を出ようとした時、唇が塞がった。
後を尾けた事を知られることだけは避けたい。
必死に声や物音をひそめて、相手を確認する。



黒木くんだ。
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