ねこの散歩道
「出発!」


「うわっ。」


自転車が走り始めた。揺れて少し怖い。

「背中つかまらないと落ちるぞ〜。下り坂あるし。」


「う、うん。」


わたしは言われるがままにトモの学ランをギュッとつかんだ。

腰に手を回すのは、軽い女だと思われたくなかったから。

つかみにくかったけど背中の学ランを必死につかんだ。



「アイちゃん?」


「ん?」


下り坂になり、トモは両手を離した。

「ちょっと!やめて!怖い怖い。」

それを見てわたしは背中を軽く叩く。


ククッと笑いトモは「はいはい。」と言って再びハンドルを握る。

「アイちゃんってさ、東京から来たんだろ?」

「え?…あ、うん。」

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