ねこの散歩道
「アイちゃんが来ることは聞いてたけど、まさか同じクラスになるとは思ってなかった。」


下り坂が終わり、再びトモはペダルをこぎだした。

そして言葉を続ける。



「俺、唯のいとこなんだ。」



唯。

その名前を聞いた瞬間、記憶がよみがえる。



爽やかな香水の香り。

落ち着いた声。

耳の後ろの髪をかまう癖。

普段のカッコイイ顔から可愛い顔へと変わる笑顔。


彼はみんなの人気者であり、わたしの大切な人であった。


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