奇跡をあなたに
少ししてから、保健の先生がきた。


「幸さん?大丈夫?」

「はい....。」


「体は打撲程度だからよかったけど、香苗さん逹は修学旅行が終わったら謹慎になるから!」


「えッ?」


「あなたにあんな事をして...ごめんね。
気付いてあげられなくて。」


「いえ...」


香苗逹が謹慎。


私は別に香苗逹が謹慎になって嬉しいという感情はなかった。


だだ心の中はモヤモヤでいっぱいだった...


「市川くん、ちょっと部屋出てくれる?」


「あっはい。」


先生の言葉で望は部屋から出ていった。

「傷の手当てやり直すわね。」


「先生、なんで望はここにいたんですか?」


「市川くんね、幸さんを必死に抱えて私の所にきたの。“幸が...”って泣きそうな顔で。
“俺は幸の体見てやれないから、先生に見てほしい”って、幸さんの手当てが終わったら部屋にすぐ入ってきて、幸さんの手握ってたわ。きっと、市川くんは幸さんの事好きなんじゃないかしら(笑)大切にしなさいね?あと何かあったら先生にいつでもいいなさい。」


「そうなんですか。」


そう言って先生は私の傷の手当てをやり直してくれた。


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