奇跡をあなたに
毎日会っていた私と望。


ある日、外は雨だった。


メールでやりとりをし、望がまた私の家に来ることになった。


ピンポ―ン


「は~い」


ガチャッ


「おぅッ」


「ど、どうぞ(笑)」


なぜか私はまた緊張をしていた。


毎日見る望なのに、飽きないし、もっと見ていたいと思う。

もっと望の事知って、もっと自分の事を知ってほしいと思う。

こんな気持ち初めてだった。


「今日はこけんなよ(笑)」


「もう、大丈夫!(笑)」


そんな会話をしながら部屋に入ると、望が急に立ち止まった。


「......。」


??

「望?どうしたの?」

「あれ、幸の母さんか?」

「うん....」


部屋には母の私が写った写真とローソクと花があった。


見ただけで、もうこの世にはいないと分かる。


「母さん、別に暮らしてたんじゃないのか?」


「....冬休みの間にね...急に亡くなったの。」


「亡くなった..?」


「うん、望には話してなかったね。」


望はただ呆然と立っていた。




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